牡羊座の月と作風

牡羊座の月の欲求

前回、牡羊座はざっくり言うと「自己存在の確立」がテーマです…的なことを書きました。
月は心理占星術の世界では「~したい欲求」と読むので、牡羊座の月は「自己存在を確立したい欲求」となります。
けれども、これだとあまりにも表現が硬く、抽象的なので、もうちょっと噛み砕いてみる必要があります。

「私の存在を実感したい欲求」と表現すると、多少はわかりやすくなるでしょうか。でも、まだ抽象的ですね。
自分の存在を実感するにはなにをすればいいのかというと、まずは自分の思うがままに行動してみればいいのです。
とにかく自分がやりたいようにやってみることで、ひとは胸の内側で燃えている魂の炎を認識することができます。逆に言うと、じっとしていたら、自分が本当に存在しているのかわからなくなってしまうのです。
だから、牡羊座の月は「思うがままに行動したい欲求」と紹介されていたりもします。

ところで、自分の行動を他者がどう受け止めるのか見ることで、自分の存在を実感する…という方法もあります。
しかし、「他者」という鏡を通して自分の姿を認識するのは牡羊座ではなく、天球の真逆の位置にある天秤座です。
なので、他者の反応から自分の在り方を定めていこうとしても、牡羊座の月は満足できません。

なぜ満足できないのか。それは、牡羊座は「火の星座」で、「個人的な星座」だからです。
火の星座はエゴを司り、肉体の内側にある「魂」の部分です。そのひとが自立するために必要な燃料です。自分が自分で在ることを重視している星座です。
また、牡羊座は個人的な領域にあるので、他者を意識しません。むしろ、他者というある種の不純物を過剰に取り込んでしまうと、牡羊座は牡羊座らしさを失ってしまいます。
牡羊座の月の欲求を満たすためには、「自分」に焦点を合わせていかなければならない。自分のなかにある、「私はここにいる、生きている」という炎が消えてしまわないよう、大切に守っていかなければならない。
だからこそ、ただひたすら自分が望むように動くことが重要になってくるのです。

牡羊座の月の欲求を、単純に「生きたい」「生き残りたい」と読むのも好きです。
牡羊座はまだ肉体も言葉も持たない、裸の魂です。牡羊座の一つ前のサイン――魚座の大きな大きな海から陸に上がって間もない、まだ自分がなにものなのか知らない、まっさらな魂です。気を抜いたらまた、魚座のあたたかな海に引き戻されてしまいそうな、あいまいな存在です。
だからこそ、「生きたい!」と己を奮い立たせ、大きな大きなおサカナのお腹のなかに戻ってしまわないよう、この世界をひた走るのです。自分が消えてしまわないよう、「私はここにいる!」と叫び続けるしかないのです。
生きるために「主張する力」「獲得する力」である火星を振るい、世界に「私」の存在を刻みつけてゆく。
牡羊座はそんな生命の躍動感に満ちています。

牡羊座の月と作風

牡羊座の月を持つひとの作品は、世界に対して問や主張を投げかけて、そのままスッと潔く終わるパターンが多いように思えます。
反面、物質的ななにかを得て満足して終わるパターンは少ないです。
結果的に安息の地やら名誉やら家族やら恋人やらを得る場合もあります。が、物語の主人公はなにか具体的なものに対して、満足しているわけではありません。ただ、自分が自分でいられることに、満たされているのです。

なので、牡羊座といえば元気でワイルドなイメージもあるかと思いますが、牡羊座の月の作風は、意外と内省的です。
物語の根底で「存在」について問い続けているからでしょう。
肉体の実感がない状態での「自分」はものすごくあいまいであるがために、「自分の」という所有格さえ感じられないケースも多々有ります。ただ「在る」ということを認識しようとしているのです。

自分がやりたいように行動しきった満足感、が牡羊座の月にとっての一番の報酬でしょうか。
他者や社会、または世界への依存を脱ぎ捨てて、「やっとただの『私』になれた」という形で、満足感を得るケースもあるかもしれません。
あるいは、「私の代わりはいくらでもいるし…」な状態から、「私は唯一無二の存在なんだ!」と確信することで、月を満たすとも考えられます。
自分の生命やプライドを賭けたゲームに参加することで、生の実感を得ようとするパターンも見かけました。

占星術では、星座の解釈は無限にできます。思いつくがままにすべて書き連ねていたら、この記事を書き終えられなくなってしまうレベルで、ひとつの星座からいろいろな言葉を引きずりだせます。
なので、牡羊座の月には「自己存在を確立したい」という欲求が根っこにあることを押さえた上で、ぜひ、いろいろと解釈してみてください。
前回の記事もヒントになるはずです。というか、解釈する上でのヒントにしていただくつもりで書いた記事です。

ちなみに、私はコミティアで配布したペーパーに、火星座の月の特性として「魂の純潔を貫くために死を選ぶことも」的なことを書きました。
牡羊座の月を持つひとの作品でも、自分が自分であるために肉体を手放すケースが多々見られます。
牡羊座にとっての本質は肉体ではなく、精神だからです。牡羊座の月を持つひとにとって、ときとして肉体は邪魔なものなのかもしれませんね。
実際、個人天体(太陽・月・水星・金星・火星)に火の星座が多くなると、自分の肉体を大事にしない傾向が出てきます。そういうひとは、ハウスやアスペクトしている天体にもよりますが、安全よりも高揚感を選ぶからですます。
だから、月牡羊座のひとも、身体を大事にしてください。

でも、創作物のなかであればいくら主人公が死んでも大丈夫です。
創作は偉大。そう、改めて思いました。

2 件のコメント

  • noteでコメントを残した者です。
    こちらでは初めまして。

    「心理占星術を活用して、創作活動をもっと楽しく、もっとすこやかに。そんなテーマであれこれ模索している占いブログです。」

    とても素晴らしい試みだと思います。私の月星座は牡羊座で、いろいろと思い当たる節がありました。
    他の方の意見や感想を聞いてみたくて、Twitterでブログをご紹介したりもしました。

    他の記事もじっくりよみたいです。

    私は歴史と占いが好きな小説家志望の者です。今後の創作活動の相談をテーマに、鑑定をお願いするかもしれません。ご迷惑でなければ、今後もよろしくお願いします。

  • こんにちは、noteやTwitterでもお世話になっております!

    創作活動って、日常ではなかなか消化しきれないテーマを表現するのに最適な方法なので、よりいい感じで活動できる方法を見つけて水平展開できればいいな~とはじめたブログです。
    なので、Twitterでご紹介いただき、ありがとうございました!
    更新が死ぬほど遅いですが、これからも情報を出していきたいです。

    歴史と占い、どちらも小説を書く上での武器ですね!
    鑑定モニター、ご協力いただきありがとうございます。全力で取り組ませていただきます。

    それでは、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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