天秤座の月と作風

天秤座の月の欲求


前回の記事で、「天秤座のテーマは『他者との交流』です」…と書きました。
心理占星術の世界では、月は「~したい欲求」と読みます。
なので、天秤座の月は、簡単に表現すると、「他者と交流したい欲求」となります。少し言葉を付け足して、「他者と交流することで、自己存在を確立したい欲求」と言い表してもいいかもしれません。
天秤座の月を持つ方は、ぜひ、「こんなふうに表現すれば感じいいかな~」と、魅力的な言葉を探してみてください。そうやって気持ちいい空気を作っていけば、対人兵器である天秤座は無敵です!

さて、天秤座の月を持つひとが、「他者と交流したい欲求」を満たすためには、どうすればいいのでしょうか。
今回はめちゃくちゃ簡単ですね。社交の場を持てばいいのです。
天秤座は「活動サイン」のため、積極的に場作りをしてナンボです。そのため、だれかにかまってもらうのを待つというよりも、自分から他者にはたらきかける必要があります。
また、「風」のサインでもあるので、「場作り」を「空気作り」と表現してもいいかもしれません。「私」と「あなた」とのあいだを満たす空気を心地よいものにして、人間関係の調和をはかるのです。

…こんなふうに言葉にするのは簡単ですが、「人間関係」はむずかしいです。意のままにいい感じの空気を作れて、だれとでも仲よくなれれば、人生だいぶラクになるわハゲ!と心の底から思います。実際、厚生労働省等が行っているアンケートでも明らかになっているように、社会人の悩みの主因のひとつにもなっています。

社交の場に強いイメージがある天秤座にとっても、「人間関係」はむずかしいものでしょう。むしろ、他の星座よりも、人間関係のむずかしさに悩むことが多いかもしれません。
天秤座は、他者が自分と同等の「存在の質量」を持っていることを、よく知っています。だからこそ、自分とは異なる価値観を持つ「ひとりの人間である他者」を強く意識し、自分ではどうしようもない他者の存在に苦慮するのではないでしょうか。

「他者との交流の場を持ち、自己存在を確立したい欲求」は、言い換えれば「魅力的な私でありたい欲求」でもあります。天秤座の月の欲求は、元も子もない表現をすると「こんなにも上品でエレガントでスマートな私を、みんな好きでいてね~」になります。
だから、だれに対してもいい印象を与えたいがあまり、自分の気持ちを押し殺してしまったり、他人に振り回されてしまったりしまいがちなのです。
その結果、人間関係に疲れ果ててしまい、社交の場を避けたり、頑なに自分を貫き通そうとしてしまうケースも、ままあると考えられます。
あるいは、嫌われるのが怖くて、他者と関わることに消極的になってしまうこともあるかもしれません。

疲れてしまったら、刺激の強すぎる人間関係からは身を引いて、安心できる場所にもぐりこみ、うるうるの月に水を注いでやることも必要です。
天秤座の月だって、水まんじゅうです。人間関係という名の風が吹いている場所にずっと置いておいたら、見る影もなく干からびてしまいかねません。
でも、天秤座の月は、ある程度月を潤したら、また交流の場に戻っていくのでしょう。月という名の水まんじゅうの品質維持にはよろしくないとわかっていても、ある程度風通しのいい環境にいないと、満たされない性質があるのです。

天秤座の月が、他人に振り回され、干からびて、カチンコチンの水まんじゅうにならないためには、天球の真向かいにある牡羊座の要素も意識して身に着けていく必要があります。
牡羊座は、自分が何者なのか、はっきりとさせようとする星座です。
真向かいにある星座は、互いに補完し合う関係になっています。したがって、天秤座の「他者との交流」を支えるものとして、牡羊座の「自己存在の確立」があります。
天秤座は牡羊座をしっかりやることで、自分のたましいの形を知り、自分の欲求を知り、他人に振り回されない強い軸をつくることができます。
また、自分の存在をはっきり認識できるようになると、自分自身の足場がしっかりするので、ものごとを客観的に判断できるようになります。

牡羊座も天秤座も、テーマは「生存」であると考えています。
牡羊座は個として「いかに生き残っていくか」という本能的な衝動を重視し、天秤座はたくさんの個のなかで「いかに生き残っていくか」という冷静な戦略を重視しています。
牡羊座も天秤座も、「生き残りたい」のです。
天秤座というと、優雅で、ガツガツしていなくて、ちょっと貴族っぽい印象を持たれている方も少なくはないかと思います。
が、実際のところは、草木が美しい花をつけるのと同様に、「いかにも天秤座」なひとたちは、生き残る手段として、あえて優雅さを演出しているのでしょう。

天秤座の月と作風


天秤座の支配性は金星です。「美」や「調和」を司っている天体です。
そのため、天秤座の月を持つひとの作品は洒落ています。
好きなもの、きれいなものをめいっぱい詰めこみました!という「豊かさ」を全面に押し出した美しさではなくて、抑揚のきいた、均整の取れた美しさです。スタイリッシュだったり、さわやかだったり。
残酷だったり薄暗い物語でも、品のよさを感じることが多いです。
引き算の得意な方が多いのでしょうか。どこか風通しがよくて、汗の描写も暑苦しくありません。むしろいいにおいがしそう。

また、たくさんの登場人物を扱うのが上手な方の多い印象です。
多種多様なひとびとの人生がからみ合って、それぞれの物語が重なりあって、ひとつの像を結んで、そして最後は各々の道に戻っていきます。だれかと深く関わることがあっても、結局自分の足で歩いていくことを選ぶというか…。
なにもかもがすっきりと片付いたあとの清々しさと同時に、別離の寂しさをほんのりと感じることもあります。「分離」と「客観性」をテーマとしている「風」の星座からすると、別離の際に感じるのは「寂しさ」ではなく、深い満足感なのかもしれませんね。

天秤座の月を持っている創作家さんは、作品を片手に交流の場に飛びこんでいくと、なんだかんだで充実感があるのではないでしょうか。また、他者からの反応によって、自分では気づけなかった作品の魅力や欠点も見えてきます。
けれども、交流に重きを置きすぎてしまうと、自分の表現したいものがつくれなくなってしまうという面もあります。実際、それで悩んでいる方を目にすることも少なくはありません。
(この場合、「牡牛座=ほんとうに好きなもの」と「獅子座=自己顕示欲」の葛藤もあると思いますが…)

かといって、自分のやりたいようにやっていると、今度は受け手がついてきてくれるか、不安にもなってしまいます。
かくいう私も内なる牡羊座の衝動に突き動かされて、うっかり焼肉の話をしすぎてしまったことがあります。反省していますが、また焼肉が食べたくなってきました。

天秤座に天体があろうがなかろうが、作品を公開している創作家さんは、自分のやりたいこと(牡羊座・火星)と、他者に好かれること(天秤座・金星)とのあいだで、程度に差はあれどゆらゆらと揺れているのだと思います。
そして、そうやって揺れながら、バランスをとっていくのでしょう。

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