蠍座-他者の価値の利用

蠍座の要素

星座の性質は、その星座が持っている「要素」の組み合わせで考えてみると理解しやすいです。
この「要素」というのは、

  • 男性サイン/女性サイン
  • 火サイン/地サイン/風サイン/水サイン
  • 活動サイン/不動サイン/柔軟サイン
  • 個人的/社交的/普遍的

です。

蠍座の持つ要素は、以下のとおりです。

  • 女性サイン
    • 陰陽の「陰」であり、エネルギーを内側に溜めこみます。
  • 水サイン
    • 「感情タイプ」に分類されます。自分のこころの動きを通して世界を把握し、処理します。他者との精神的なつながりを司ります。
  • 不動サイン
    • すでにあるものを維持し、価値を積み重ねていきます。
  • 社交的
    • 「自分以外の他者」「他者との関係づくり」に意識が向かいやすいです。

これらの要素を組み合わせてみると、蠍座は「自分と他者との関係性のなかで、価値を積み重ねていく」みたいな感じになります。なにがなんだかさっぱりわかりませんね。
蠍座にとっての「すでにあるもの」は「他者の価値」です。「他者の価値を自分のなかに取り込んでゆく」「(自分のなかに取りこんだ)他者の価値を利用する」というふうに変形してみたら、多少はこなれた表現になるでしょうか。
ちなみに、星座の性質は、厳密に言語化する必要はないです。上辺を撫でるようなそれっぽい表現で、蠍座は果たして納得できるのでしょうか(反語)。「このひとは蠍座についてなにもわかっていない…」「このひとの語る蠍座は…核心にかぎりなく近い…。もしやこのひとは蠍の心臓
アンタレス
なのでは…?」などと蠍座についてあれこれ探求し、「これだ!」と感じた要素を掘り下げ、練り上げることで、さらに蠍座力はがアップする…はずです。

8番目の星座

蠍座は12星座の8番目の星座です。
1つ前の天秤座では、ひとりの人間として他者と対面し、交流を繰り広げます。つまり、対等な人間関係が構築することに重点を置いています。また、天秤座は「風」の星座で、「分離」がテーマになっています。ですので、天秤座における他者との交流は、私とあなた、自分と他者、それぞれの独立性が保たれていました。
他者と関わっていくうちに、「相手についてもっと知りたい」「もっと深い関係になりたい」と思うようになることも、ままあるかと思います。相手を「特別」に思うようになると同時に、自分も相手にとっての「特別」になろうとしたとき、ひとは天秤座から蠍座へと移っていきます。
また、蠍座が入れこむ対象は、生きている人間とはかぎりません。作品や思想、実在するものから架空のもの、物質的なものから非物質的なものまで、「もっと知りたい」と強く望み、特別視している状態が、蠍座なのでしょう。

蠍座は感情を重視する「水」の星座です。「水」の星座では、ものごとを自分のこころに落としこみ、実感しようとします。蠍座の場合は、天秤座で作り上げた「関係性」を、こころに落としこもうとします。
天秤座は相手を特別視せずに、対等であろうとします。対等であるから、自由かつ活発に交流ができるのです。また、「私」と「あなた」との距離感をはかり、バランスをとることが大事です。
一方、蠍座はこのバランスを崩してなんぼの星座です。対等な関係も、適切な距離感も、相手に近づき、そのこころに触れ、自分のこころに触れさせる上では、無意味どころか邪魔です。

世間一般の蠍座に対するダークなイメージは、快適で整っていたバランスをぶち壊して、対象にかぎりなく近づいて、より深く知り、より深く実感しようとする姿勢に起因するのだと思います。
いつも澄ましているあの子に興味を持ってしまったら、ほんとうの顔を知りたくなるじゃないですか。笑顔だけじゃなくて起こった顔も見てみたいし、泣き顔だって気になります。スカートのなかも覗いてみたいしパンツだって下ろしてみたい。秘密の部分も気になるわけですが、そのときに相手がどんな反応をするかも知りたいんです。この例文は悪ノリですが、重たいししつこいしめんどくさいにおいがプンプンしますね。
蠍座は「特別」だとみなした対象について徹底的に知り、きれいな面もみにくい面も呑みこんでいきます。そうやって、他者の価値を、ときには存在を、自分の中に取りこんで、新たな自分へと変容していくのです。

他者との境界

支配星からも、星座の性質を考えてみましょう。
蠍座の支配星は「冥王星」と「火星」です。
冥王星は「破壊」やら「死と再生」やら「権力」やら「思惑」やら、なにやらすごくやばそうなものごとを象徴しています。「冥王星」という名前からして、なんだか強そうですしね。

私は、冥王星は「境界」の象徴でもあるのではないかと考えております。
冥王星は人類が接近しうるギリギリの位置にある天体です。冥王星のさらに外側にある天体となると、もはやどんな姿をしているのかよくわかりません。つまり、冥王星は一種の「最果て」と言えます。太陽系のうち、人類がたどりつける世界の内と外との「境界」に、冥王星があるわけです。

「境界」は、この世界のいたるところにあります。自分と他者とのあいだ、生と死とのあいだ、光と影とのあいだ、国と国とのあいだ、昼と夜とのあいだ…。
この「境界」は、いずれもはっきりとした線のようで、実際は非常にあいまいなものです。
なにをもって生とし、なにをもって死とするか、その定義は議論され続けています。
光と影との境目は、よくよく目を凝らしてみるとぼんやりとしています。国境線は実際にその地に描かれているわけではありません。日の出前から空は明るいし、日没後しばらくは薄明が続きます。

そして、「境界」は怪異と結び付けられています。「境界」には魔が宿るのです。逢魔ヶ時には妖怪がうろついていそうだし、冬から春へと移り変わるときには変質者が頻出するし、生と死の境目には生命科学のタブーがあります。
同様に、自分と他者とのあいだにも、なにか得体のしれないものが潜んでいるように思えます。境界に触れるということは、禁忌に触れてしまう危険性をはらんでいます。この境界を超えるということは、禁足地に踏みこむようなものです。

ですが、虎穴に入らずんば虎児を得ず。境界線を超えなければ、得られないものもある。自分の持っていないものは、外側にしかない。他人と深く関わらなければ、ひとは変われない。
そこで、境界をぶち破るために、蠍座のもうひとつの支配星である「火星」を使います。
「火星」は「獲得」や「防衛」を司ります。要するに武器です。
同じく火星に支配されている牡羊座では、火星は自己主張や、自分自身の純粋な獲得欲求のために使われます。
一方、蠍座では、火星を用いて自分の持っていないもの、つまり自分の外側にしかないもの・他者の価値を獲得します。そして、他者の価値を利用し、新しい自分と変容していくのです。

蠍座は外部にあるものをどんどん取りこんでいく星座です。清濁併せ呑む…といえば聞こえはいいのですが、自分が「これだ!」と信じこみ、執着しているものについては、際限なく呑みこもうとします。
生きものはなにかを摂取したら、排泄しなければなりません。ごはんを食べて、お腹のなかで消化したら、ごはんの成れの果てを体外に出さなければ最悪死にます。
大食いの蠍座も、外にあるものを取りこむ一方では死んでしまいます。火星といえば「性欲」の象徴でもあるのですが(火星のマークは♂です、察してください)、溜めこみすぎると爆発して心身ともに大ダメージを食らいます。
また、蠍座はあれこれ表に出せないものごとを扱う星座なので、秘密主義です。ゆえに、気持ちを外にだすのが苦手な傾向にあり、精神的にもいろいろと溜まりやすい面があります。
ですので、なにやら溜まっているな~身体やこころが重たいな~と感じたら、小まめに放出していくことが大事です。トイレはがまんしすぎてはいけません。限界を突破したときの被害が、すさまじいことになります。

他者の価値の利用

上記の内容を心理占星術的な表現でまとめると、「他者の価値の利用」になります。
蠍座は自分とそれ以外の他者とのあいだにある境界を突破し、他者の価値を獲得します。そして、他者の価値を利用することによって、今までとは違った自分へと変容していくのです。

「このひとの才能、すごい、うらやましい」「なんで自分にはこの才能がないのだろう」「ほしい」「ねたましい」「このひとの肉を喰らえば、自分もこの才能を得ることができるかも」…等々、創作の世界をのぞきこんでみると、さまざまな黒い感情がうずまいています。
これが創作の蠍座面です。光あるところに影があるように、才能あるひとの周りには飢えたサソリがひそんでいるのです。

ひとは自分が「それ」を持っていないからこそ、他者が持っているものに価値を見出し、ときに負の感情を抱きます。
逆に言えば、他者の価値に触れることによって、自分がなにを持っていて、なにを持っていないのか、明瞭に浮かびあがるわけです。
自分の価値を高めるためには、苦しいかもしれませんが、これを利用しない手はありません。
サソリだって、工夫すれば食べられます!

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