乙女座の月と作風

乙女座の月の欲求


前回の記事で、「乙女座のテーマは『技術の洗練』です」…と書きました。
心理占星術の世界では、月は「~したい欲求」と読みます。
なので、乙女座の月は、「自分の技術を洗練していきたい欲求」となります。乙女座はこの「技術」を他人のために使うので、「他人にとって有用な人間になりたい欲求」と、より詳細に表現することもできます。また、洗練させるということは、不完全なものを完璧に近づけていくということなので、「不足しているものを補いたい欲求」ともいえるのではないでしょうか。
乙女座の月を持つ方は、ぜひ、「これなら人にちゃんと伝わる…かな?」という表現を探してみてはいかがでしょうか。そうやって、「より伝わる表現」へと洗練させていけば、きっと、自信を持てるようにな…らないのが乙女座なのでした…。

さて、乙女座の月を持つひとが、「私の技術は役に立っている」と実感するためには、どうすればいいのでしょうか。
前回の記事でも書きましたが、自分の技術に自信が持てなくても、それを他者に対して使っていくことが重要です。
技術についていくら反省・分析・改善を繰り返して、細部を調整していっところで、乙女座の月の人の思う「完璧」なレベルに到達することはありません。
「まだ未熟だから…」と感じるかと知れませんが、とりあえず実際に使ってみる必要があるのです。乙女座は「実用性」の星座だからです。

手元にある作品についても、同じことが言えます。
「まだここが直せるから…」「自分では納得いっていないから…」と細かいところの調整を繰り返しているのでしたら、はほどほどでやめて、思い切って世に出してみたほうがいいです。
獅子座(自己価値のアピール)をやらずに、その次の乙女座をやることは、なかなか難しいかと思います。獅子座での成功や失敗を踏まえて、乙女座で反省と改善を行うのが、自然な流れだからです。

…などとぐだぐだ言われても、それでも、どうしても、細かいところが気になってしまうのが、乙女座の性質です。
なお、この乙女座の細さが発揮されるのは「自分がこだわっていること」についてであり、ありとあらゆるものに対して細かいとは限りません。
整理整頓のできない乙女座だっています。だらしない乙女座だっています。
部屋が散らかっていようが、洗濯物はたたまない主義だろうが、乙女座は「自分がこだわっていること」に対して、徹底的に細かく細かく細かく細かく取り組めればいいのです。
欠けがあったら補いたくなるし、同じカタチのものは重ね合わせたくなるのです。端から見ると、「それ、やる意味あるの?」というところまでこだわります。
「職人気質」とも言いますし、さらに別の言葉を使えば「変態」です。でも、ヒトはみなベクトルの違う変態ですので…。

このように、乙女座は細かいところに目が行くので、全体像を把握するのが苦手です。「木を見て森を見ず」になりがちです。
そのため、なんのために技術を洗練させていこうとしているのか、目的をきちんと把握し、ことあるごとに確認して必要があるのです。
乙女座は、目的さえはっきりしていれば、環境や状況に合わせて効率的な手順を組み立て、正確かつ精密にものごとを処理できます。とても有能な星座なのです。

乙女座は重箱の隅をつついてきて、口うるさい面もありますが、凝り性をこじらせて、非現実的な世界に迷い込みやすくもあります。たとえば、健康に気をつかいすぎて、根拠データのない健康法にハマってしまい、逆に身体を壊してしまう…といったケースが考えられます。
乙女座はあくまでも目の前にあるものを分析し、現実的に処理していく星座です。そのため、非現実的な世界にずっぷりと浸かりすぎてしまうと、乙女座の持つ正確性・精密性はまったく活かせなくなってしまいます。当然、地に足をつけておきたい乙女座の月の欲求は、満たすことができません。
乙女座の月は、あくまでも現実に即していたいのです。現実を見失ってしまっては、不安になるだけです。それが事実なのか観察・検証を重ね、慎重かつ冷静な判断を忘れないことで、気持ちも安定するでしょう。

乙女座の月と作風


ハッピーエンドだろうとアンハッピーエンドだろうとバッドエンドだろうとデッドエンドだろうとメリーバッドエンドだろうと、「妥当だなぁ…」と感じる落としどころの作品が多いです。
がんばったキャラクターには相応の褒章を与えるし、悪いことをしたキャラクターにはやっぱり相応の罰を与えます。

前者だと、地に足をつけるような、ほっとする結末になる傾向が見られます。「これからも、このひとはこの世界で生き続けていくんだろうなぁ」と、安心してキャラクターの背中を見送れるようなエンディングです。
後者だと、情状酌量をしないケースが多いので、容赦なく罰を与えます。そして、それがときに目を覆うほど残酷だったり、鬱々とするほど陰惨だったりします。
「いや、たしかに妥当な結末なのかもしれないけどさぁ…。でも、あまりにもあんまりだ…!」と、いったい何度、私は血の涙を流したことでしょうか…。
作者さん本人が、キャラクターの行いを観察し、分析し、どんな結末を与えるのが妥当か、冷静に見極めているのでしょう。

また、乙女座の月のひとの作品は、「生活臭のするファンタジー」も多い傾向にあるようです。
真向かいにある魚座(幻想の海を漂っている)の影響を受けているからか、幻想世界を舞台にしたり、非現実的な要素を取り入れやすくあるのでしょう。
ですが、幻想にずっぷり浸っているわけではなく、キャラクターがその世界で日常を送っているにおいがします。「このひとたちはちゃんとごはんを食べているし、仕事もしているし、汗も流すし、病気にもなるし、トイレにも行っているんだろうなぁ…」と、しみじみ感じさせられてしまうのです。

乙女座の月を持っている創作家さんは、設定にしろストーリーにしろ、こだわりたい部分をきちんと作りこむと、きっと楽しいはずです。
このとき、いろいろな資料を見たり読んで、特殊な状況の検証をしたり、ガジェットや現象の原理等を調べたり考えたりすると、作品の完成度が上がって、つくり手も読み手も満足できる…と思います。ただ、あまりに細部にこだわり続けてしまうと、今度はいつまでたっても完成しなくなってしまうので、ほどほどで切り上げる必要性もありますが…。

また、作品をつくる上での具体的な技術も、乙女座の領域です。
そのため、すべての創作家さんは、乙女座に天体があろうとなかろうと、乙女座らしい面を持っているのです。
ですので、獅子座らしくご自身の創造性を発揮させたあとは、内なる乙女座を引っぱりだして、作品の分析と技術の改善を行う。
これを繰り返すことで、つくり手としてさらなる戦闘技術を得ることができるのでしょう。

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