魚座について-すべての統合

魚座の要素

星座の性質は、その星座が持っている「要素」の組み合わせで考えてみると理解しやすいと思います。
この「要素」というのは、

  • 男性サイン/女性サイン
  • 火サイン/地サイン/風サイン/水サイン
  • 活動サイン/不動サイン/柔軟サイン
  • 個人的/社交的/普遍的

です。

魚座の持つ要素は、以下のとおりです。

  • 女性サイン
    • 陰陽の「陰」であり、エネルギーを内側に溜めこみます。
  • 水サイン
    • 「感情タイプ」に分類されます。自分のこころの動きを通して世界を把握し、処理します。他者との精神的なつながりを司ります。
  • 柔軟サイン
    • すでにあるものを改善するために、臨機応変に動きます。
  • 全体的
    • 統合がテーマで、「社会」や「みんな」に意識が向かいやすいです。

これらの要素を組み合わせてみると、魚座は「世界と精神的につながって臨機応変に動く」という感じになります。
「世界と精神的につながる」というのは自我を手放して大きなものに身を委ねることで、「統合」と呼ばれる状態になること。小さな雨粒が海に落ちてひとつの巨大な水たまりと一体になるイメージでしょうか。
こういうかなりふわっと抽象的でデカくて、ロマンチックなのかそうじゃないのかよくわからないたとえも、魚座的な世界だと思います。たったひとつの揺らぎようのない真実があって、でもそれをずばっと適切に伝えられる表現が存在しないから、自分でもわかるようなわからないような表現しかできない…という感じです。
だからこそ魚座は試行錯誤して、人々に大きな夢を見せたり、なにかを気づかせたりするような作品を創り上げていくのでしょう。

12番目の星座

魚座は12星座の12番目、つまり最後の星座です。
牡羊座から水瓶座までのあいだに積み重ねてきた物事を統合し、そこから真実や新たな可能性に気付いたり気付いたりしなかったりするのが魚座です。
まとめと振り返りはひとつ前の水瓶座の段階ですべて終わっていて、魚座では今までやってきたことを一度手放したり、次のサイクルに入るために調整や準備を行ったりするのです。

また、10番目の山羊座までが社会の枠の内側で、11番目以降の水瓶座と魚座は社会を超えたものごとを司っています。
水瓶座はその時代に共通するものに重きを置いていますが、魚座は時間という概念さえとっぱらった上で全体を把握します。文化にも時代にも影響されない、人類にとって普遍的なものを魚座は見ているのです。

魚座で遠い過去の断片を拾ったり、遠い未来のイメージを垣間見たりしているうちに、「次はああしたいかも」「こんなことがあってもいいかも」と夢が広がっていきます。
やがて夢という燃料に火がつくと1番目の星座である牡羊座へとステージが移り、新しいものごとがはじまっていきます。ゆえに、魚座は12番目の星座であると同時に、0番目の星座でもあるのです。

魚座は感情を重視する「水」の星座です。水は凝集力を持ち、互いにくっつき合おうとする性質があります。また、「水A」と「水B」を混合すると、もとの「水A・B」にそれぞれ戻すことは不可能です。
魚座は他者にくっついて、そのまま一体化する傾向にあります。どんなものにも同化できるので、この世のありとあらゆる側面を理解し、それぞれの正しさを受け止めて、真実へと迫ってゆくことができるのです。

同じ「水」の星座である蟹座も蠍座は、この世界に数多の水たまりが存在するイメージです。一方で、魚座はたったひとつの大きな水たまりです。
蠍座の水たまりにもいろんなタイプのひとが棲んでいてわけのわからない感じですが、魚座の水たまりには、過去も未来も含めてすべてのひとが泳いでいたり漂っていたり沈んでいたりします。

人間はみんなそれぞれ独立した個人で、いろんな人種がいて、いろんな思想が存在して、いろんな文化があって……と各人の違いを挙げるとなると枚挙ありません。
それでも人間には種として、あるいは地球上の生物として、はたまた同一の宇宙の存在として共有しているものがあって、そういうものを魚座は司っています。
なにやら話が壮大になってきましたが、魚座というのは果てしないものなのです。

夢と真実

支配星からも星座の性質を考えてみましょう。
魚座の支配星は「海王星」です。
海王星は太陽系の八番目の惑星で、2017年現在では太陽系でもっとも外側を公転する「惑星」です。
地球から遠く離れているため、裸眼で観測することはできません。つまり、日常においては「存在しているのかいないかよくわからないもの」なのです。
発見に至るまでの経緯が複雑なこともあって、あいまいな・つかみ所のないものの象徴とされることもあります。

海王星に支配されている魚座も、ふわっとした感じで説明されることが多いです。
魚座は「ひとつ」であり「すべて」です。
それゆえに、個人や社会の範疇で「魚座らしさ」を語ろうとすると限られた面しか示すことができないため、非常に移ろいやすくてつかみ所のないものとして認識されてしまう……のではないかな、と思います。

また、海王星は「真実」を司ると同時に「欺瞞」も司っています。これは、真実が存在するからこそ欺瞞という概念を理解することができるからではないでしょうか(逆に、欺瞞の裏側には真実が隠れているともいえます)。
このような表裏一体で分離不可能なものもまた、海王星や魚座が象徴しています。
よく「優柔不断」といわれる魚座の多面性もまた、その裏に「たったひとつ」が潜んでいることのあらわれなのかもしれません。

海王星は「夢」の象徴でもあります。
「夢」は睡眠、飲酒、ドラッグ等で自我を手放した状態で見ることができます。完全に意識を失っているとき以外、日常のなかでぼんやりとしているときも自我が弱まっているので、白昼夢を見たりします。
夢というと根拠のない幻のような感じもしますが、実際は蓄積された過去の輪郭が崩れ、時間軸を失い渾然一体となったものです。脳のなかに存在するありとあらゆるデータが分解され、再構築へと向かってゆく過程が夢なのです。
たぶん夢に集合無意識だとか遺伝子に記録されているあんなことやこんなことも関係しているのだと思いますが、そのへんはまったく詳しくないので割愛します。そもそも科学的な裏付けをとって書いているのではなく、聞きかじった知識をつぎはぎしてフィーリングでそれっぽい感じになるよう書いているので、鵜呑みにしないようお気を付けください。読み手に「夢」を見せるような記述には、嘘や間違いが多分に含まれているケースが少なくありません。特に医療・健康ネタは注意です。

すべての統合

上記の内容を心理占星術的な表現でまとめると、「すべての統合」になります。
魚座はこの世界に存在するすべてのひと、もの、ことを統合し、大きなひとつのかたまりとして認識します。そうやって世界の真実に気づき、遠い未来を夢見るのです。

最近はネット上で膨大な量の作品が公開されています。
広く愛されるような親しみやすさに満ちた作品もあれば、ものすごく尖っていて好みの分かれるような作品もあるし、流行を取り入れた作品もあれば、自分自身の世界を表現することに忠実な作品もある――。
ネットの海を回遊しながらいろんな作品に触れていると、なんとなくひとびとが求めているものとか、夢とか、願いとか、やりきれなさとか、そんな感じの実態も根拠もない雰囲気のようなものにふと気づいた……ような感覚になったりします。
きっと、どんな作品であっても、魚座の見ている「大きな夢」のひとつの側面なのでしょう。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUTこの記事をかいた人

煮汁の上澄み。心理占星術を勉強中。占星術を創作に結びつけて活用できないか、日々模索しています。